東所沢から南船橋ゆきの電車に乗る。一時に和らいだ熱さも、また立ち上がってきたような空気だ。熱い。面倒くさい。仕事が。仕事が面倒くさいのだ。だから、車内で寝ていたいなあと思っていた。
隣のシートで赤ちゃんがワンワン泣き出す声が聴こえる。
うるせーなあ、
以前はそう思ってもんだ。いまじゃ、
子供なんだから泣くわな
と思ってしまう。
まだ、泣いてる。妙な感傷も露と消えた。随分と泣くなあ。チラッとみると、赤ちゃんというよりは、1歳ぐらいの女の子がバギーの上に立って、泣いとる。ガンガン泣いてる。おいおい親は何をしているのやら、また、眼をむきなおして、パソコン上のエクセルを見つめていたのだが、どうだ、まっだまだ泣いてる。もう、泣いて訴えているというよりも、怒りながら、それでいて徐々にスケールアップするように、叫んでる。いよいよ、周囲も、苦笑モードから、大丈夫かおいモードにスイッチが入ってきた。「もう勘弁してくれよ、まじで」母親の疲弊が車両を満たし始めてきた。アナウンスが流れ出す。どうやら、この一行、下車するみたいだ。小学生ぐらいの長男もいっしょにいる。心なしか、彼は他人でありたいような、それでいて母親に同情するような表情をしていた気がする。とにかく、女の子はギャンギャン叫んでる。泣きながら叫んでる。バギーに登って叫んでる。ジャングル大帝よりも「登って叫んでる」。もはや、誰一人として、母親を責める人間はいない。かといって、眉をしかめる者もいない。ただ、ただ、「大変やな」という雰囲気。
電車が彼らの目的地に到着する。長男はあいかわらず他人のように荷物をもって降りる。号泣し続ける子供とバギーを強引に撤収する母親が、うつろにつぶやいた。「もう、ほんと・・・・・・やめて」
隣のシートで赤ちゃんがワンワン泣き出す声が聴こえる。
うるせーなあ、
以前はそう思ってもんだ。いまじゃ、
子供なんだから泣くわな
と思ってしまう。
まだ、泣いてる。妙な感傷も露と消えた。随分と泣くなあ。チラッとみると、赤ちゃんというよりは、1歳ぐらいの女の子がバギーの上に立って、泣いとる。ガンガン泣いてる。おいおい親は何をしているのやら、また、眼をむきなおして、パソコン上のエクセルを見つめていたのだが、どうだ、まっだまだ泣いてる。もう、泣いて訴えているというよりも、怒りながら、それでいて徐々にスケールアップするように、叫んでる。いよいよ、周囲も、苦笑モードから、大丈夫かおいモードにスイッチが入ってきた。「もう勘弁してくれよ、まじで」母親の疲弊が車両を満たし始めてきた。アナウンスが流れ出す。どうやら、この一行、下車するみたいだ。小学生ぐらいの長男もいっしょにいる。心なしか、彼は他人でありたいような、それでいて母親に同情するような表情をしていた気がする。とにかく、女の子はギャンギャン叫んでる。泣きながら叫んでる。バギーに登って叫んでる。ジャングル大帝よりも「登って叫んでる」。もはや、誰一人として、母親を責める人間はいない。かといって、眉をしかめる者もいない。ただ、ただ、「大変やな」という雰囲気。
電車が彼らの目的地に到着する。長男はあいかわらず他人のように荷物をもって降りる。号泣し続ける子供とバギーを強引に撤収する母親が、うつろにつぶやいた。「もう、ほんと・・・・・・やめて」
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