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mi1011.net 20080501
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または私は如何にして心配するのを止めて人生を・愛する・ようになったか
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西神中央の風景
4月も終わりを告げ出すと、なんとも夏に近づいた気分になる。単に快晴だからか、温暖化の影響だからか、それは定かではない。

そんな生命漲る季節、俺は近畿圏内を電車で客先訪問しようと試みているのだが、必ずといっていいほど、それは商店街のガラガラクジをひくと赤玉が出てくるほど、電車に乗ると電波が横に座る。必ず座る。俺の横に座る。なんで座るか。知らない、とにかく電波はめっぽう俺に近づいてくる。

今日もそんな日だった。

電波がめっぽう近づいてくる習性であることを自覚もしているので、それなりの場数を踏んできたつもりゆえ、電波センサーも周波数帯域を大きくしてきたつもりだった。要するに、電波だなと思ったらほぼ電波であり、そうでなければそうではないという、確率の問題なんだが、とにかくそんなに外れることはなかったはずだった。

電車に乗る。走る。止まる。次の駅。
右横の空席を埋めてきたのは、学生のスポーツマン風の男。その判断材料はカバン(サッカーボールが2、3個は入っている概観)、なんとかユニバーシティと書かれたトレーナー、さわやかな短髪。日焼けした顔。時刻は午前10時45分。こんな時間帯にフラフラできる若者は学生かボンクラ。状況証拠を加味すると、大学生の部活練習の行きしな。要するに、俺のセンサーは触れていなかったわけだ。

ところが、座って1分後。
『頭、痛いわ』

車内の静寂がひょっこりと心配顔になるような一言。頭痛がひどいと、他人の存在を忘れて思わず唸ったり、小さくつぶやくことはある。これは自然だ。しかし、こいつの『頭、痛いわ』は、明らかに誰かに向かっていうてるけど、その誰かがわからん『頭、痛いわ』であって、いわゆる、携帯電話で会話している馬鹿のような、『独りなのに二人で会話しているようにみえるから違和感が生じる』、という奴である。

さらに1分後。
『脚も、痛いわ。』

今度は脚である。前日の練習がきつかったのか。いやそれにしても、これも誰にいってるのか。ちゅーか、『も』って。キャッチボールしてないのに、『も』。ということは、誰かにいってるのではなく、自分が思ったことをそのまま無意識に口に出している行動と判断できる。また、二つのセンテンスのインターバル1分も、謎を深めている。

さらに1分後
『ナガタ、いきたいなあ』
さっぱりわからん。長田地域のことか、お店のナガタか、そんなん知らんけど。とにかく、自己完結。

もうこのあたりになると、触らぬ神に視線をぶつけるほど勇敢な人間ではないので、ひたすら下を向いて席を移動すべきかどうか悩んでいたものの、『怖いもの観たさ』気質と『なんでもネタにしたがる』癖が相乗効果を生んで、『待て』との脳内指令が出た。

その間、『マンデラ』とか、『それはちょっと』とか、『どうしてそうなるかな』とか、言葉と言葉の接続が困難な会話が続いていたが、ようやく目的の駅が近づいたらしく、奴は降りる用意をしだした。少し安堵したその瞬間。

『らもす!!』
と叫んで立ち上がるや否や、でかいカバンを左肩に背負って、奴は去っていった。対面平行のオッサンと思わず眼があってしまう。何が起こったの?という按配で。

げに、電波の季節、到来なり。
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