ばあちゃんの告別式が終わった。
遺影の眼光は鋭いが、遺体の表情は風呂上りのような顔つきだ。
布団に寝ていても誰も死んでることに気付かないぐらい、綺麗な顔をしている。生き生きとした死に顔とは、ばあちゃんらしい。人生を力一杯生きた顔だ。
仏前参りの時、お坊さんが面白いことをいってた。
『年を取り、病気もせず、ある日突然亡くなるのは、決して悪い事じゃない。自然に生き、自然に死ぬ。それは一番幸せなことです。』
出棺の時を迎えた。ばあちゃんの顔と会う最後の機会だ。
一番辛かった親父だが、毅然とした態度を貫いた。お袋、親戚、妹・妻は泣きじゃくっていた。俺は、距離を置くでもなく、近づくでもなく、ただ、その風景を見つめていた。花をお棺に入れ、ばあちゃんの頬を掌で包んだ。ぬくもりは消えていた。ばあちゃんが死んだことが初めてわかった。泣くしかなかった。
頑張ったな。ほんま頑張ったな。もう楽していいんやで。
でも、いってまうんやな。いかんといてや、ばあちゃん。寂しいわ。しばらく会えないやん。でもそれまでに、ばあちゃんに誉められるような男になっておくわ。また会おうな、ばあちゃん。
ばあちゃんが棺桶の中で手を振った。そんな気がした。
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